「ものづくり」の夢を実現できる街
約50年前に日本で初めてジーンズが作られたといわれている倉敷市の児島地区では、
地場産業としてデニムや学生服などの繊維産業が発達してきました。
この国産ジーンズ発祥の地・児島で、2006年に「桃太郎ジーンズ」ブランドを立ち上げ、
国内外から年間約15万人の人が訪れる「児島ジーンズストリート」の創設に関わった
株式会社ジャパンブルーの眞鍋寿男社長に、倉敷市の「ものづくり」についてお話を伺いました。
個性的なショップが
集まるジーンズストリート
瀬戸内海に面した港町でもある倉敷市の児島地区で、さびれたシャッター商店街だった通りにジーンズ関連の店舗を集めて、2009年に「児島ジーンズストリート推進協議会」を設立しました。スタートした時は3店舗だったジーンズショップも年々増えていき、今では30店舗以上になりました。当社の店舗のほかにも国産ジーンズのパイオニア企業から、個人で立ち上げたブランドショップまで、さまざまなテイストのジーンズや洋服を選ぶことができるようになっています。また、毎年4月の「せんいのまち児島フェスティバル」や10月に行われるアートフェスティバルなどのイベントの参加や開催をはじめ、ジーンズの街として日本国内だけでなく世界に向けて発信を続けています。
繊維産業の専門家が
そろっている児島
桃太郎ジーンズの「銅丹レーベル」というヴィンテージ・ジーンズは、ブランド設立当初から、ジーンズ職人がすべての工程を手作りで作っています。ジーンズ1本作るにしても、デニム生地のほか、革ラベルやボタン、リベットなど、いろいろなパーツ材料が必要です。材料の仕入れからパターンを引いて縫製・加工までの全過程が、ここ児島ですべてできる環境が整っています。児島にはパターン屋さんや縫製工場がたくさんあり、それぞれの専門家がそろっているので、「オリジナルの商品を作りたい」「自分のブランドを持ちたい」と漠然と考えているだけの人でも、すぐにでもブランドが立ち上げることができます。
夢をすぐに実現できる街
繊維業界にまったく縁のない人でも「こんなバッグを作りたい」と言えば、自分では知識がなくても周りのみんなが生地から付属品についてまで、いろいろアドバイスしたり手伝ったりしてくれるので、「夢を実現できる街」だと思います。独立・起業するのに繊維産業はとてもスタートアップしやすい業種です。自分では何も持っていなくても明日にもできますよ(笑)。もちろん事業を大きくするにはいろいろなものが必要になりますが、まずは始めてみるなら、児島は他の場所よりとてもやりやすい環境に恵まれています。
インフラが整っているので、繊維産業の生産地にしては工賃も安く、夢のような場所だと思います。ヨーロッパなどの海外からも、言葉の壁さえなければ児島に事務所を持ちたいという人はたくさんいますよ。
アクセスのよい倉敷の
地の利を活かして
児島は四国への玄関口として瀬戸大橋の起点であり、高速道路や港もあり、流通の面でも大変便利です。倉敷市は美観地区をはじめとする多くの観光資源もあるので財政的にも安定していますし、何より温暖で、海も工業地帯も田園地帯もあって環境は抜群です。多種多様な産業が発展していて働く場所もたくさんあるので、初めのうちは働きながら知り合いを増やして起業のチャンスを待つのもよいでしょう。今、ジャパンブルーでは、海外からのインターンシップを積極的に受け入れて住居や仕事の提供を行っていますが、児島の人たちはとても好意的に受け入れてくれています。
地方の産地というと昔からの頑固な職人さんがいるようなイメージがあるかもしれませんが、最近は地元以外の人も増えてきて何か始めるとその周りも潤っていくので、新しい風を吹かせてくれる人を歓迎するムードです。
児島を繊維産業の
シリコンバレーに
ジーンズストリートに出店している個人ブランドをはじめ、児島には大志を抱いてその夢を叶えている人たちが実際にたくさんいます。10年ほど前に僕がテレビで話していたのを見てこの街に来た人もいるし、若い子たちがどんどん独立して社長になって活躍しています。児島にはそういう人たちが集まって、自分がかつてしてもらったように新しく何か始めようとする人を支援する、繊維産業のシリコンバレーのような場所になるのではないかと期待しています。
行政でも、デザイナーを目指す人に工房や事務所を格安で貸し出す「デザイナーズインキュベーション」を児島産業振興センターに用意しています。起業・創業する人には行政や地域でそれぞれいろいろな支援制度があるので、これから何かを始めたいと考えているなら、ぜひ児島を選択肢に入れてみてください。
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